「版ズレ」とは、印刷において、複数の色を重ねて印刷する際に各色の印刷位置がずれる現象を指します。
印刷物の品質に大きな影響を与える問題であり、特にオフセット印刷やシルクスクリーン印刷など、色ごとに版を使って印刷を行うプロセスにおいて発生します。
版ズレが発生すると、仕上がりに違和感を覚える色の輪郭がぼやけたり、色が重なり合わない部分が出たりして、全体の品質が低下します。
目次
版ズレが発生する原因
紙や素材の移動・変形
- 印刷中、紙が微妙に動いたり、熱や湿度の変化により伸縮したりすることで、次に印刷される色と最初の色が一致しなくなることがあります。特に薄い紙や湿度が高い環境では、素材自体が動きやすいため、版ズレが発生しやすくなります。
印刷機のメカニカルな問題
- 印刷機のローラーやシリンダー、フィーダーの不調により、紙が正確にセットされなかったり、印刷版が正確に固定されなかったりすると、版ズレが発生します。特に古い印刷機やメンテナンスが不十分な機械では、これが原因となることが多いです。
登録マークのズレ
- カラー印刷では、各色ごとに印刷位置を合わせるために「登録マーク」(レジストレーションマーク)を使います。このマークの位置が正確に揃っていない場合、版ズレが発生します。機械のセンサーが誤って読み取るか、登録マーク自体が誤って印刷されていると、各色の印刷位置がズレる可能性があります。
版自体のズレ
- 印刷版(プレート)が印刷機に取り付けられる際、正確な位置にセットされていないと版ズレが生じます。また、版が印刷中に動いてしまうと、色がずれてしまいます。
印刷速度
- 印刷速度が速すぎる場合、紙や版の制御がうまくいかず、版ズレの原因になります。特に高速印刷機を使用している場合、スピードが印刷の精度に影響を与えることがあります。
インクの乾燥時間
- 印刷プロセスで、各色のインクが十分に乾燥しないまま次の色が印刷されると、インクがまだ湿っている状態で素材に移動や変形が起きるため、ズレが発生します。インクの乾燥が不十分な場合、重ね刷りの際に色が滲んでズレたように見えることがあります。
版ズレの影響
カラーバランスの崩れ
- カラー印刷では、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の4色や、それ以上の色を重ねてフルカラーを表現します。版ズレが起こると、これらの色が意図した通りに重ならず、色味が異なったり、にじんで見えたりします。これは、印刷物の全体的なデザインに悪影響を及ぼします。
不鮮明な印刷結果
- 各色が正しく位置に配置されないことで、図形や文字の輪郭が不鮮明になります。特に細かいテキストやグラフィックでは、ズレが目立ち、読みづらさやデザインの損傷を引き起こします。
デザインの破綻
- ズレが大きい場合、デザイン自体が破綻することがあります。例えば、複雑なイラストや図形で複数の色が正確に組み合わさっていないと、全体的なバランスが崩れ、仕上がりが大幅に悪化します。
版ズレの防止策
用紙や素材の選定
- 版ズレを防ぐためには、使用する紙や素材の伸縮性を抑えることが重要です。特に湿度が高い環境での印刷では、湿気に強い紙を選ぶことが推奨されます。また、乾燥時や印刷中に安定している素材を使用することが重要です。
印刷機の適切なメンテナンス
- 印刷機が常に正確に動作するよう、定期的なメンテナンスを行うことが必要です。ローラーやシリンダー、フィーダーが正常に機能しているか確認し、必要に応じて部品の交換や調整を行います。
登録マークの適切な使用
- 印刷前に登録マークを確認し、正確に各色が揃っているかをチェックします。自動センサーが正確に作動しているかも確認し、手動で調整が必要な場合には事前に調整を行います。
印刷版の正確なセット
- 印刷版を印刷機にセットする際、版が正確な位置に配置されているか確認します。特に手動で版をセットする場合には、慎重な取り扱いが求められます。
インクの乾燥時間の確保
- 各色が印刷される前に、前の色が十分に乾燥していることを確認します。特に速乾性のインクを使用するか、印刷スピードを適切に設定して、インクが完全に乾燥する時間を確保します。
印刷速度の調整
- 印刷速度が速すぎると、版ズレの原因になるため、適切な速度で印刷を行うことが大切です。特に高精度な印刷を行う場合には、速度を少し落として精度を高めることが推奨されます。
版ズレが発生した場合の対策
テスト印刷
- 版ズレが疑われる場合、まずテスト印刷を行い、ズレがどの程度発生しているかを確認します。テスト印刷を行うことで、問題が発生している部分を特定できます。
版の再調整
- ズレが確認された場合、印刷版を再調整する必要があります。これにより、各色が正確な位置に配置されるようにします。
印刷条件の再確認
- 用紙のセット、印刷速度、インクの乾燥状況、機械の状態など、印刷条件全体を見直します。問題がどこにあるかを特定し、適切に対処することが求められます。
まとめ

版ズレは、印刷プロセスにおける非常に一般的な問題であり、印刷物の品質に直接影響を与えます。
紙の移動や印刷機のメカニズムの不具合など、さまざまな要因が版ズレを引き起こしますが、適切なメンテナンスや事前のテストによって防ぐことができます。
高品質な印刷を維持するためには、用紙の選定、機械のメンテナンス、インクの乾燥時間の確保など、細かな要素を適切に管理することが重要です。
以上、印刷の版ズレについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

