活版印刷(活字印刷)の発明者として最もよく知られているのはヨハネス・グーテンベルク(Johannes Gutenberg)です。
彼は15世紀のドイツ人発明家であり、印刷技術に革命をもたらした人物です。
しかし、活版印刷そのものの歴史を掘り下げると、実はそれ以前にも類似の技術が他の地域で発展していたことがわかります。
以下、詳しく解説します。
目次
活版印刷とは何か?
活版印刷とは、一文字ずつ彫られた活字(可動式活字)を組み合わせて文章を作り、インクをつけて紙に印刷する技術です。
これにより、大量の文書を比較的短時間で正確に複製できるようになりました。
従来の手書き写本や木版印刷に比べて効率性・柔軟性・再利用性が格段に高まったのが特長です。
グーテンベルクとその功績(ヨーロッパ)
発明者:ヨハネス・グーテンベルク(1390年頃 – 1468年)
- 出身地:神聖ローマ帝国(現在のドイツ・マインツ)
- 活動時期:15世紀半ば(おそらく1440年代)
- 業績:
- 鉛と錫の合金による金属活字の開発
- 印刷用の油性インクの発明
- ねじ式の印刷機の改良(ワイン圧搾機から着想)
- 世界初の大量印刷された書籍『グーテンベルク聖書』(42行聖書)の印刷(1455年頃)
重要性
グーテンベルクの印刷技術は単なる「可動活字」の使用にとどまらず、
- 材料(合金)、
- 製造法(鋳造のための精巧な金型)、
- インクの特性、
- プレス機の構造、
など複数の技術革新を統合していたため、初めて実用的かつ商業的な大量印刷が可能になった点が大きな功績です。
実はもっと早かった?アジアの先行例
グーテンベルク以前にも、アジアでは可動活字による印刷技術が存在していました。
中国
- 発明者:畢昇
- 活動時期:北宋時代(1040年ごろ)
- 特徴:
- 陶器製の可動活字を発明。
- しかし材料の脆さ、印刷効率の問題から大規模には普及しなかった。
- 技術の記録は、宋の学者・沈括の『夢溪筆談』に記されている。
朝鮮
- 高麗王朝〜李氏朝鮮にかけて、金属活字による印刷技術が使われていた。
- 最古の金属活字本とされるのは『直指心体要節』(1377年)で、これはグーテンベルクの聖書より70年以上も早い。
- 朝鮮半島では国家主導でこの技術が発展したが、広く国際的な影響を与えるには至らなかった。
なぜグーテンベルクが「発明者」とされるのか?
活字印刷の技術そのものはアジアに先行例がありますが、以下の理由でグーテンベルクが「活版印刷の発明者」として広く認識されています。
- 西洋における印刷革命の出発点だった。
- 聖書の大量印刷によって、キリスト教世界に多大な影響を与えた。
- ルネサンス・宗教改革・科学革命・啓蒙思想などの進展に実質的な技術的基盤を与えた。
- 商業的に持続可能な印刷産業を確立した。
- その技術が爆発的にヨーロッパ中に広まり、出版業・教育・知識伝播のあり方そのものを変えた。
補足:活版印刷のその後の影響
- 15世紀末にはヨーロッパ各地に数百の印刷所が誕生
- 16世紀初頭には数千万冊の書籍が流通
- 宗教改革を後押し(ルターの95箇条の論題などの大量印刷)
- 民衆への知識の普及、読み書き能力の向上
- その後、新聞や出版業、教育制度などの発展の基盤に
まとめ

| 地域 | 発明者 | 年代 | 素材 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 中国 | 畢昇 | 1040年ごろ | 陶器 | 可動活字の初の記録 |
| 朝鮮 | 不明(国家主導) | 1377年 | 金属 | 世界最古の金属活字本 |
| ドイツ | ヨハネス・グーテンベルク | 1440年代 | 金属 | 商業印刷と知識革命の始まり |
結論
ヨハネス・グーテンベルクは、実用的かつ商業的な活版印刷技術の創始者であり、世界的に大きな影響を与えた人物です。
一方で、技術的な原型は中国や朝鮮に見られ、それぞれの文化圏で独自に発展していました。
このように、活版印刷の歴史は単一の人物に還元できない広がりがありますが、知の爆発的普及を可能にした象徴的存在としてグーテンベルクの名前が世界史に刻まれているのです。
以上、活版印刷の発明者は誰なのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

