QRコードを箔押しする場合、印刷や加工のプロセスの特性上、通常の印刷とは異なる多くの注意点があります。
箔押しは光沢のある金属フィルムや顔料フィルムを用いて、熱と圧力で素材に転写する加工で、デザイン性を高めることができますが、QRコードの「可読性」に直接影響を与えるため、慎重な設計が必要です。
以下では、技術的・デザイン的・実務的な観点から注意点を体系的に解説します。
目次
箔押しの仕組みとQRコードの関係性
QRコードは、小さな「黒と白のコントラスト」で情報を記録しており、スマートフォンやスキャナで読み取るには高い認識精度とコントラストが必要です。
一方、箔押しは以下のような特性があります。
- 光沢が強い:反射が強く、読み取り角度によって見えにくくなる
- 繊細な細線が潰れやすい:高精細な図形に対しては線の再現性が低い
- エッジがボケやすい:はっきりとしたコントラストが出にくいことがある
これらの要因により、QRコードを単純に箔押しで加工すると読み取れないことが多々あります。
箔押しQRコードの制作時の主な注意点
サイズの確保
- 最低でも20mm × 20mm以上が推奨
- 箔押しでは細かいディテールが潰れる可能性が高いため、小さすぎると認識不能になります。
誤り訂正レベルを「H(高)」に設定
- QRコードには誤り訂正機能があり、「L/M/Q/H」の4段階があります。
- 箔押しで潰れたり削れたりするリスクに備えて、情報量が少ない場合でもH(30%の冗長性)を設定するのが鉄則です。
ベタ箔(全面的に箔押し)の避け方
- 背景全体に金や銀を敷くと、QRコードのコントラストが損なわれます。
- 白い紙に黒箔のQRコードなどは読み取れる可能性がありますが、反射が強いと読めないこともあるため、事前のテストが必須です。
下地とのコントラストを確保
- 箔と用紙のコントラストが曖昧だと、スキャナが「点と点の区別」をできなくなります。
- 例:金箔 × ベージュ系紙 → 読み取り困難
- 例:黒箔 × 白紙 → 比較的良好
線幅の限界を意識する
- 箔押しで再現できる線幅には限界があります(一般に0.1mm〜0.2mm以上が目安)。
- QRコードは1セル(1マス)が非常に小さいため、線が潰れて「黒塗りつぶし」に見えてしまうことがあります。
現場で使われる工夫と推奨アプローチ
QRコード部分のみオフセット印刷にする
- 箔押しとオフセット印刷のハイブリッド:
- デザイン全体に箔を使いつつ、QRコードだけは通常の黒インクで印刷する
- 品質・読み取り精度ともに非常に安定
ダミーで箔押しの見た目だけ再現する
- 完全な金属光沢は再現しないが、金インクやシミュレーション印刷で近い見た目を作る
- 印刷コストも抑えられるうえ、読み取りも安定
事前の読み取りテストを必ず実施
- 実物校正やモックアップで、実際のスマートフォンやスキャナーでの読み取り検証を複数回行うことが重要です。
- iPhone、Android、業務用スキャナーなど複数の機器での読み取り検証を推奨
QRコードを箔押しに使うべきか?判断のポイント
| 判断基準 | 内容 |
|---|---|
| 情報量 | URLが長い場合は短縮URL化(例:bit.ly、独自ドメイン短縮)を行うべき |
| 目的 | ブランドイメージのために金箔・銀箔を使いたいのか、実用性重視なのか |
| デザイン制約 | デザイン内に「通常印刷でQRコード部分だけ抜く」ことが可能か |
| 印刷部数 | 高価な校正が必要になるため、小ロットではコストに見合わない可能性あり |
実例:読み取れるQRコード箔押しの仕様例(理想的)
- 用紙:白色上質紙
- 箔色:黒箔または濃色メタリック箔(赤・青なども可)
- QRコードサイズ:25mm角
- エラー訂正:H
- デザイン:QRコード周辺は余白を3mm以上確保
- 加工:深押し・薄押しを避け、中間圧で施工
- テスト端末:iPhone 13、Android Pixel、業務用リーダー
まとめ

QRコードを箔押しする場合には、見た目の美しさと実用性(読み取りやすさ)のバランスが極めて重要です。
特に以下の3点が肝になります。
- 読み取れることを最優先に考え、デザインや加工方法を調整すること
- 実機テストを怠らない(複数機種でチェック)
- 必要に応じてQRコードだけ別加工にする柔軟性を持つこと
もし実案件で使用を検討している場合は、「印刷会社と早い段階で相談」「テスト印刷を行ってから量産」がおすすめです。
以上、QRコードを箔押しする場合の注意点についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

