箔押し印刷とは、金属箔や顔料箔などの特殊なフィルム(箔)を、熱と圧力をかけて紙や革などの素材に転写する加飾印刷の技術です。
別名「ホットスタンプ」「ホットスタンピング」「金箔押し」「ホイルスタンプ」とも呼ばれます。
以下で、箔押し印刷の仕組み、種類、特徴、用途、メリット・デメリットなどを、プロ向けの視点から深掘りして解説します。
目次
箔押し印刷とは?基本的な仕組み
工程の概要
- 金属製の凸版(版)を作成
– ロゴや文字、模様の形状に彫られた金属の版(真鍮やマグネシウム)が使用されます。 - 版を熱で加熱
– 通常、100〜150℃程度に加熱します。 - 箔(ホイル)を紙の上にセットし、版で圧着
– 熱と圧力によって、箔が紙や素材に転写される。 - 箔が素材に定着して完成
– 転写された部分だけが、金属光沢や顔料の色を持つ。
◎ 熱 + 圧力 + 箔の3つの要素で成立する技術。
使用される「箔」の種類
| 箔の種類 | 特徴 | 色や仕上がりの例 |
|---|---|---|
| 金属箔(メタリック) | キラキラした金属光沢 | 金、銀、銅、ホログラム |
| 顔料箔(ピグメント) | マットな質感。光らない | 白、黒、赤などの不透明カラー |
| 透明箔 | 素材の質感を活かす | ロゴや模様をうっすら強調 |
| ホログラム箔 | 虹色・グラデーション効果 | セキュリティ印刷や高級装飾に使用 |
| パール箔 | パールのような光沢 | 上品で控えめな光沢感 |
箔押し印刷の特徴・魅力
見た目に華やか、高級感
- 箔の光沢は通常の印刷では得られないインパクトがあります。
- 名刺やパッケージに使用することで、ブランディングに強く貢献。
触感・質感による演出
- わずかな凹凸が手触りとして伝わり、印象を高める。
- 特に金属箔を厚めに押すと、立体感が出る。
インクにない色の再現が可能
- 特に「金色」「銀色」「ホログラム」などは、インク印刷では再現が難しい。
- 企業のロゴや記念品、証明書などでよく使われる理由のひとつ。
箔押し印刷の主な用途
| 分野 | 具体的な使われ方 |
|---|---|
| 名刺・ショップカード | ロゴや名前に金箔でインパクトを演出 |
| パッケージ | 化粧品、菓子箱、贈答品などの高級感UP |
| 書籍・雑誌 | 表紙タイトルに金銀箔。豪華版や限定本に |
| 招待状・挨拶状 | 結婚式、開店祝いなどのフォーマル文書に |
| 証明書・賞状 | 信頼性と格式を出すための装飾 |
| 製品ロゴ・タグ | 革製品、木製品、アパレルタグなどの加飾 |
箔押し印刷のメリットとデメリット
メリット
| 内容 | 説明 |
|---|---|
| 高級感と視覚効果 | 印刷では出せない金属的な光沢が目を引く |
| ブランド力の強化 | 企業ロゴなどを箔押しすることで品格を演出 |
| 耐久性 | 特に顔料箔は摩擦に強く、退色しにくい |
| 多素材対応 | 紙だけでなく、革、プラスチック、木にも対応可能 |
デメリット
| 内容 | 説明 |
|---|---|
| コストが高い | 版の作成費用や機械加工のため、単価は上がる |
| 細かい表現が苦手 | 写真や細かすぎる線は版に再現しにくい |
| 大量印刷に不向き | 処理速度が遅く、オフセット印刷に比べて非効率 |
| 環境配慮の必要性 | 箔の素材がプラスチックフィルムである場合、リサイクル性に配慮が必要(※最近は環境対応箔も登場) |
箔押し印刷の制作フロー(実務レベル)
- 版下データの作成
- Illustratorでベクターデータ(アウトライン済み)を作成。
- 線幅は最低でも0.3pt以上、文字は6pt以上が推奨。
- 版の作成(真鍮やマグネシウム)
- エッチングやレーザー彫刻で版を作成。納期は2〜5日が一般的。
- 印刷機で箔押し加工
- 加熱、圧力、タイミングを調整し、職人の手で1枚ずつ加工。
- 検品・仕上げ
- 箔のカスレ、ズレなどをチェックし、丁寧に梱包。
箔押し印刷と相性の良い素材
| 素材 | 備考 |
|---|---|
| 紙(厚紙) | 名刺やパッケージ、書籍など多用途に最適 |
| 革 | ブランドロゴやシリアルナンバーなどに使用される |
| プラスチック | プリペイドカード、クレジットカードなど |
| 木材 | ギフトボックスやタグなどに高級感を追加 |
箔押し印刷のトレンド
- 環境配慮型の顔料箔・植物由来箔
脱プラの動きの中で「生分解性箔」なども登場しています。 - ミニマル×箔押しのブランディング
シンプルな白黒デザインに金や銀の箔押しを添えるスタイルが人気。 - パーソナライズ印刷×箔押し
一点ずつ名前やIDを箔押しするサービスも増加中。
まとめ

箔押し印刷は、紙や革などに金属的な光沢や質感を与えるための特殊加飾印刷技術であり、ブランディング、装飾、印象付けにおいて非常に強力な手法です。
コストや版の制約はあるものの、そのビジュアルインパクトと高級感は、印刷物の価値を一段階引き上げてくれます。
以上、箔押し印刷とはなんなのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

