賞状に句読点(「、」「。」)が使われない理由は、主に日本の伝統的な書式美と格式・礼儀を重んじる文化的背景に基づいています。
この慣習には複数の意味や由来が重なっており、以下のような理由で説明されます。
格式と厳粛さを保つため
賞状は、表彰や感謝など、特別な功績や行為を称えるための文書です。
そのため、一般的な文章とは違い、「格式ばった印象」や「厳粛な雰囲気」を保つ必要があります。
- 句読点を使うと口語的・日常的な印象になり、文の区切りが明瞭すぎて「読みやすくなりすぎる」ことで、逆に儀式的な重厚感が失われると考えられています。
- 特に、賞状は書の体裁(書道的要素)が重視されるため、文章全体が一続きで荘重に見えることが求められます。
日本書道・公文書の伝統
賞状の文体は、漢文調(和漢混交文)や訓読文に近い形式が用いられており、この形式はもともと句読点を用いないのが基本でした。
- たとえば、漢文の訓読では、「返り点」や「送り仮名」などを使って読むことはあっても、句読点は原則使われません。
- 明治・大正時代の公文書や官報、さらには戦前の学術論文などでも、句読点は使用しないことが多かったのです。
このように、権威ある文書の伝統が賞状にも受け継がれているため、現代においても句読点を排するのが慣例となっています。
美的観点・書式の整えやすさ
賞状は縦書きであることが多く、句読点を使うと文面のバランスが崩れることがあります。
- 「、」や「。」などの記号が入ることで、行の間の空間や文字の配置に不均衡が生じ、見た目の美しさが損なわれる可能性がある。
- 特に書道的な楷書体や筆耕による手書きの賞状では、句読点を入れる位置に迷う、あるいは文字の流れが滞る原因にもなります。
賞状は「見た目の荘厳さ」も非常に重要視されるため、整然とした体裁を保つためにも句読点を避けるのです。
句読点がなくても意味が通じる構成
賞状の文面は、以下のような定型構成で書かれることが多く、句読点がなくても自然に意味が通じるように工夫されています。
一般的な構成例
- 被授与者の名前
- 何を称えるか(表彰の理由)
- 賞の名称(例:努力賞)
- 授与日
- 授与者の名前・団体名
たとえば、以下のような文面では句読点がなくても読み間違えたり混乱したりしにくい構造になっています。
あなたは学業において優秀な成績をおさめその努力と成果は誠に顕著であります
よってここにその栄誉をたたえこれを賞します
このような文は、自然な間(ポーズ)で読むことが想定されており、句読点がなくても意味が明確に伝わるようになっています。
句点が「終わり」を連想させるため避けるという説
これは一部の文化的な考え方にすぎませんが、「。」(句点)は物事の終了や断絶をイメージさせるという見方があり、それをお祝い・栄誉の文書にはふさわしくないとする考えもあります。
- 「表彰状は終わりではなく、これからの活躍への激励でもある」
- 「締めくくるのではなく、余韻を残すように文を終える」
こういった縁起を担ぐような日本独特の感性も背景にあるとされています。
まとめ

| 理由 | 説明 |
|---|---|
| 形式的・儀礼的な美しさを保つため | 厳粛な印象を与える |
| 日本書道・漢文の伝統に基づく | 公的文書文化の名残 |
| 視覚的な整合性を保つため | 美しく整ったレイアウトが求められる |
| 文構造上、句読点がなくても理解できる | 定型文・定まった流れにより支障なし |
| 「終止符」を避ける縁起的配慮 | お祝い・励ましの文書に「終わり」は不適 |
以上、賞状に句読点がない理由についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

