「活版印刷(かっぱんいんさつ)」は、印刷技術の歴史の中でも非常に重要な発明のひとつであり、現代の印刷や情報社会の基礎を築いた技術です。
以下、活版印刷の意味・仕組み・歴史的意義などについて、詳しく解説します。
目次
活版印刷の意味とは?
活版印刷とは、金属や木で作られた「活字(かつじ)」と呼ばれる一文字ずつの型を組み合わせて版を作り、それにインクを付けて紙などに印刷する技術のことです。
「活字」の意味
- 活字は、「生きた文字」という意味合いがあり、繰り返し組み替えて使えることから「活(い)きている」と表現されています。
- 1文字ごとに独立した立体的なブロック(鉛やスズなどの金属で作られていることが多い)です。
活版印刷の仕組み
活字を組む(植字)
文章に必要な文字を、1文字ずつ選んで組み合わせて版を作ります(これを「植字」といいます)。
版の固定
組み上がった活字のブロックを枠(組版枠)に固定し、印刷用の「版(はん)」とします。
インクの塗布
ローラーなどでインクを版の表面に均等に塗ります。
紙に転写
その版に紙を押し当てて印刷を行います。
紙と版が直接接触する「凸版印刷(とっぱんいんさつ)」の一種です。
活版印刷の特徴
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 再利用可能 | 活字は組み直せば何度でも別の文章に使用可能。 |
| 高い印刷品質 | 文字がくっきりと浮き出るため読みやすい。特に紙に「凹み」ができる独特の味わいがある。 |
| 作業が手間 | 植字や版組みが手作業で、時間がかかる。 |
| 小ロットに不向き | 版を作る工程が必要なため、少部数の印刷にはコストが高くなる。 |
活版印刷の歴史
世界の歴史
- 紀元前から存在した木版印刷などとは異なり、活版印刷は「活字を再利用する」という点で革命的でした。
- 15世紀中頃、ドイツのヨハネス・グーテンベルクが金属製の活字を用いた活版印刷技術を開発し、印刷革命が起こりました。
- 最初の代表作は「グーテンベルク聖書」(約1455年)です。
- これにより、書物の大量生産が可能となり、宗教改革・ルネサンス・近代教育の普及に大きく貢献しました。
日本における活版印刷の導入
- 日本では、江戸時代までは木版印刷が主流でしたが、明治時代に西洋の活版印刷が本格的に導入されました。
- 特に、本木昌造(もとき しょうぞう)という人物が長崎で活版印刷を広め、日本語用の活字の開発や印刷所の設立を行い、「日本活版印刷の父」と呼ばれています。
活版印刷の現在の位置づけ
実用から工芸へ
- 現代の大量印刷は、オフセット印刷やデジタル印刷が主流となっており、活版印刷は実用としてはほとんど用いられなくなりました。
- しかし、「活字の立体感と紙への印圧の美しさ」が見直され、アート印刷やクラフト印刷の一種として復活しています。
- 名刺、招待状、ポストカードなどに活版印刷が使われることが増えています。
- 日本でも各地に「活版印刷工房」や「レタープレス体験施設」が登場しています。
レタープレス(Letterpress)という名称
- 英語では活版印刷のことを「Letterpress printing」と呼び、欧米ではクラフト印刷として人気が再燃しています。
活版印刷がもたらした影響
| 分野 | 影響 |
|---|---|
| 教育 | 書物の大量生産により、教育や識字率が大きく向上。 |
| 宗教 | 宗教改革を支える聖書の普及などに貢献。 |
| 政治・社会 | 新聞・パンフレット・ポスターの大量配布が可能になり、世論形成や啓蒙活動が進展。 |
| 出版文化 | 近代的な出版社や書店文化が確立。 |
まとめ

活版印刷とは、「活字」を用いて文章を版に組み、インクを付けて紙に印刷する、世界初の再利用可能な文字印刷技術です。
その意義は単なる技術にとどまらず、人類の知識伝達の在り方を根底から変え、現代社会の形成に大きく寄与した点にあります。
今でもレトロで味わい深い印刷方法として愛され、クラフト印刷の世界ではその価値が再評価されています。
以上、活版印刷の意味についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

