「活版印刷のQRコード」というテーマは、一見すると矛盾するように思えるかもしれません。
なぜなら、QRコードはデジタル情報を含むため高い精度での再現性が必要であり、一方で活版印刷(レタープレス)はアナログで職人的な技法です。
しかし、実際にはこの2つの技術が融合したユニークで魅力的な事例がいくつか存在しています。
以下では、「活版印刷のQRコード」について、その仕組み、可能性、実用例、課題、そしてデザイン的な観点まで、詳しく解説します。
目次
活版印刷とは何か?
活版印刷(レタープレス印刷)は、凸版を使って紙にインクを転写する印刷技法です。
金属や樹脂などで作られた版の盛り上がった部分にインクをつけて紙に押しつけるため、印刷面にうっすらとした凹みができるのが特徴です。
- アナログ感、手触り、凹凸の質感が人気
- 小ロット・高級感のある名刺やカードに用いられる
- 手間とコストがかかるが、唯一無二の印刷表現が可能
QRコードとは?
QRコードは、2次元バーコードの一種で、縦横の白黒のマトリクスパターンによってデータを格納しています。
以下の特性を持ちます。
- デジタル情報(URL・連絡先・WiFi設定など)を簡単に読み取れる
- スマホや専用リーダーで読み取り可能
- 誤り訂正機能があり、一部が欠けても読み取れる(L〜Hの4段階)
活版印刷でQRコードを印刷するとは?
技術的には可能か?
→ 可能です。以下の条件が揃えば、活版印刷でもQRコードを読み取れる品質で再現できます。
条件1:解像度と精度の高さ
QRコードのドット(セル)は非常に細かいため、以下の点に注意が必要です。
- 小さすぎないサイズにする(15mm角以上推奨、可能なら20mm以上)
- 高精度の製版(ポリマー樹脂版や金属版)を使用
- 良好な印刷環境と職人の経験が求められる
条件2:シンプルなデザイン
- 高い誤り訂正レベル(例:レベルH)に設定しておくことで、多少のズレやインクのにじみにも対応可能
- 周囲にマージン(余白)を十分とることで読み取り成功率が上がる
条件3:読み取りテストの繰り返し
- 試作を重ねて読み取りチェックを行うことが必須です
- 複数のスマホ機種やアプリで確認する
実際の利用例
名刺やショップカード
- 活版名刺にQRコードを加えることで、紙の温かみとデジタルの利便性を融合
- 企業Webサイト、SNS、ポートフォリオなどに誘導
イベントや展示会用カード
- 活版印刷によるプレミアム感あるカードに、QRで詳細情報やARコンテンツへ誘導
高級パッケージや封筒
- ワインのラベル、コスメのパッケージに活版+QRコードを組み合わせて、「商品ストーリー」「製造背景」などの紹介
活版印刷QRコードの魅力
| 魅力 | 内容 |
|---|---|
| ユニークな融合 | アナログとデジタルの融合が、新しい印象を与える |
| 高級感と信頼感 | 活版印刷の美しさでブランドイメージ向上 |
| 話題性・SNS映え | 視覚的にも話題になりやすく、拡散効果あり |
注意点と課題
再現性のばらつき
- 活版印刷は湿度・紙質・インクの状態に左右されやすく、毎回完全に同じ印刷は難しい
→「精密すぎるQRコード」よりは、「誤り訂正に強い設計」が必要
インクのにじみと潰れ
- インクの乗りが多すぎるとQRコードのセルが潰れ、読み取り不良に
→ 緻密な調整と試作が必要
コストが高くなりがち
- 製版や印刷の工数が多いため、一般的な印刷よりコストが高い
デザイン面の工夫
スタイルと調和を取る
活版印刷の質感を活かしつつ、QRコードも「デザインの一部」として調和させる工夫が重要です。
- 装飾的な枠をつける(機能を損なわない程度)
- モノクロではなく特色インクを使用して、落ち着いた印象に
- デジタル要素であることを明示するアイコンや説明文を併記
活版印刷でQRコードを作る流れ(実際のプロセス)
- QRコードの内容を決定(URL・SNS・名刺情報など)
- 誤り訂正レベルHでQRコードを生成
- Adobe Illustratorなどでベクトル化(アウトライン化)
- 活版印刷用の凸版(樹脂・金属)を製作
- 試し刷りと読み取り確認
- 本番印刷へ
まとめ

活版印刷でQRコードを刷るという行為は、「人の手がつくるアナログな温かさ」と「即時に情報へつなぐデジタルの利便性」の見事な融合です。
以下のようなケースに特におすすめです。
- デザイン性の高い名刺を作りたいデザイナー・作家
- ブランドイメージを重視する小規模事業者
- 展示会などで目を引くプロモーションを行いたいクリエイター
興味があれば、活版印刷所に「QRコード印刷の実績があるか」を確認し、読み取りテストを重ねながら進めるとよいでしょう。
以上、活版印刷のQRコードについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

