箔押し加工(ホットスタンプ加工)は、印刷物や製品に金属光沢や高級感、装飾性を加えるために用いられる特殊加工のひとつです。
書籍やパッケージ、名刺、ブランドロゴなど、さまざまなアイテムに活用され、その存在感と品位のある仕上がりで注目を集めています。
本記事では、箔押しに使われる素材(箔=ホイル)の構造・種類・特徴・素材との相性を、印刷・デザインの現場目線でわかりやすく解説します。
箔(ホイル)の基本構造
箔押しに使用される「箔」は、金属そのものではなく、多層構造を持つ高機能フィルムです。
一般的なホットスタンプ用の箔は、以下のような層で構成されています。
| 層の名称 | 主な役割 |
|---|---|
| トップコート(保護層) | 表面の摩擦や汚れを防ぎ、耐久性を向上させる |
| 顔料層 | 色彩や質感(パール感、透明感など)を演出 |
| 金属層(アルミ蒸着) | 金属的な光沢を生み出す |
| 接着層(バインダー) | 熱と圧により印刷物に密着させる役割 |
| PETフィルム基材 | 箔全体を支えるベースフィルム。加工後は剥離され、製品には残らない |
つまり、箔とは単なる「金属片」ではなく、色・光沢・密着性のすべてをコントロールするために設計された多層フィルムなのです。
箔の種類と特徴
箔にはさまざまな種類があり、それぞれに独自の視覚効果と特性があります。
目的や印刷素材に応じて、最適な種類を選ぶことが重要です。
メタリック箔(アルミ蒸着タイプ)
- 代表色:金、銀、銅、ピンクゴールド、ブルーなど
- 特徴:強い金属光沢で高級感を演出。反射性が高く、目を引く。
- 用途例:名刺、書籍タイトル、パッケージロゴ、化粧品ラベル
ピグメント箔(顔料箔)
- 代表色:白、黒、赤、青などのマット色(メタリック感はなし)
- 特徴:不透明顔料による落ち着いた質感。読みやすさや視認性を重視する場面に向いている。
- 用途例:濃色紙に白文字を箔押しするケースなど
ホログラム箔
- 特徴:角度によって虹色の光沢を放つホログラム加工済み箔。視覚的インパクトが大きく、偽造防止にも用いられる。
- 用途例:チケット、ブランドロゴ、アイドルグッズ、限定パッケージ
パール箔・透明箔
- 特徴:淡く繊細な光沢感や透明な輝きを付与。控えめながら高品位な仕上がりを求める場面に最適。
- 用途例:ウェディングカード、化粧箱、ギフト用パッケージなど
素材別・箔の接着性と相性
箔押しの仕上がりは、使用する素材との相性によって大きく左右されます。
以下は一般的な印刷素材と箔の接着性の目安です。
| 印刷素材 | 接着性の評価 | 補足 |
|---|---|---|
| コート紙(アート紙) | ◎ | 表面が滑らかで箔の定着性が非常に良い |
| 上質紙 | △ | 繊維が多く吸収性が高いため、剥がれやすい場合あり。テスト推奨 |
| プラスチック(PET・PPなど) | △〜◎ | 専用箔とプライマー処理により対応可。素材による差が大きい |
| 革・合皮 | ○ | 高温・強圧に対応した箔で加工可能。試作テストが重要 |
| 木材(薄板など) | △ | 表面のざらつき・樹脂分が影響。表面処理次第で接着可 |
| 布地・繊維 | ×〜△ | 一般箔では不可。繊維用箔やシルクスクリーン向け特殊箔を使用することで対応可能 |
近年の技術トレンドと環境対応
箔押し技術は日々進化しており、以下のような新技術・新素材が注目されています。
冷箔(コールドフォイル)
熱を使わず、UV硬化型接着剤を使用して箔を転写する技術。
高速印刷機と組み合わせることで、フィルムやパッケージ素材への適用が可能。
デジタル箔(オンデマンド箔)
トナーやインクジェットで転写パターンを出力し、そこに箔を付ける技術(例:Scodix、Duploなど)。小ロット対応、版不要でコストダウンも可能。
環境対応箔
近年では、リサイクルPETフィルムや生分解性素材を使った環境配慮型の箔も登場しています。
サステナブルな製品設計を目指すブランドに好適です。
まとめ

箔押し加工に使われる「箔」は、見た目の装飾性だけでなく、高度に設計された多層素材です。
種類ごとの特徴を正しく理解し、加工する素材に最適な箔を選ぶことで、仕上がりの質感やブランドの印象に大きな差が生まれます。
製品の高級感を演出したい、ロゴの存在感を高めたい、他社と差別化したいという場合には、箔押し加工は非常に有効な選択肢です。
用途や素材に応じた最適な箔選びと、加工条件の適正化が成功のカギとなります。
以上、箔押し加工に使われる素材についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

