賞状の「揮毫(きごう)」とは、賞状や表彰状などの公式文書に筆で文字を書くことを指します。
これは単なる「筆書き」ではなく、毛筆を用いて格式と品格を重んじながら文字を揮(ふる)う、つまり芸術的な書としての側面を持っています。
揮毫はその賞状の価値を高め、受賞者に対して最大限の敬意を示す手段でもあります。
目次
揮毫の基本的な構成
賞状の揮毫には、いくつかの決まった要素があります。
これらは、文体の格式や内容の整合性を保つために重要です。
表題(主文のタイトル)
- 例:「賞状」「感謝状」「表彰状」「卒業証書」など
- 一般的に縦書きで、賞状の最上部に大きく記されます。
- 一文字ずつ大きく、重厚感のある書体で書かれます。
本文
- 被表彰者の功績や内容の説明を行う部分です。
- 文章の構成は「被表彰者名 → 行為や功績の内容 → 賞賛の言葉」の順。
- 文語調が好まれ、「右は貴殿の多年にわたる功績によるものと認め……」などの書き方が多い。
日付
- 和暦で記されるのが一般的です(例:「令和七年七月十六日」)。
- 「年月日」の文字間のバランスを取るため、日付の揮毫にも慎重さが求められます。
授与者の名前と役職
- 例:「株式会社〇〇 代表取締役 〇〇〇〇」
- 「役職名→氏名」の順で記すのが基本。
- 氏名部分は他より少し大きく書くのが一般的です。
書体と揮毫の技術的なポイント
書体
- 楷書体(かいしょたい):公的な文書にはもっとも多く使われる。読みやすく、整った印象。
- 行書体(ぎょうしょたい):少し流れがあるが、柔らかい雰囲気に。
- 草書体(そうしょたい)は一般的に賞状には使われません。
道具
- 筆:中筆〜大筆を使用。弾力があり穂先が整ったものが理想。
- 墨:墨汁よりも、墨をすって使う「固形墨」が深みのある色合いになります。
- 下敷き・文鎮:紙を安定させ、筆運びをスムーズにするために重要。
揮毫の技術
- 線の強弱、文字の重心、間隔(字間・行間)を丁寧にコントロールする。
- 賞状の用紙はにじみやすいため、筆圧と墨の量の調整が必要。
- 一枚書くのに数分かかりますが、書く前の下書きや練習を含めると1時間以上かけることも。
揮毫に関するマナー・注意点
- 誤字脱字厳禁
- 一文字でも間違えたら、その賞状は使えなくなります。最初に下書きを十分に行うことが不可欠です。
- 被表彰者の名前の正確性
- 特に姓名の漢字や肩書きは、公式書類と一致しているか確認が必要です。
- 文面の統一
- 複数枚作成する場合でも、表現にばらつきが出ないよう、テンプレートや文例を整えることが重要です。
- 書く順番の配慮
- 上から順番に、中央から左右に広がるバランスを見ながら書く。特に表題と氏名の位置関係は慎重に決めます。
現代の揮毫事情と代替手段
手書き vs 印刷
近年では揮毫を外注したり、筆文字をスキャンしたデジタルデータを印刷することも増えてきました。
手書きには風格がありますが、大量発行やミスのリスクを避けたい場合は印刷も有力な選択肢です。
プロに依頼する場合
- 書道家に揮毫を依頼する場合は、実績や過去の作品を見て選びましょう。
- 書く人の「書風」によって印象が変わるため、企業や団体のイメージに合ったものを選ぶことが大切です。
まとめ

揮毫は単なる筆書き作業ではなく、「表彰する側の敬意と格式」を文字に込める大切な文化です。
美しい揮毫は、受賞者にとって一生の記念になることもあります。
もしあなたが賞状を作成する立場にあるなら、書体・文面・用紙・道具、すべてに細心の注意を払ってください。
近年は書道経験者による外注や半手書き・半印刷という形式も増えており、場面に応じて柔軟な対応も必要です。
以上、賞状の揮毫についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

