「はがき(葉書)」という言葉は、日常語として定着していますが、その語源については誤解も少なくありません。
ここでは、通説と資料に基づき、歴史的経緯を踏まえながら整理します。
語源の中核は「端書(はしがき)」
結論から言うと、「はがき」の語源として有力なのは 「端書(はしがき)」 です。
「端書」とは、
- 文書の端に書き添える短い文
- 手紙の末尾や余白に記す覚え書き
を意味する語でした。
明治期、郵便制度の整備が進む中で、「封筒に入れず、紙1枚に簡潔な用件を書いて送る形式」の郵便物が制度化されます。
その名称を検討する過程で、「端書(はしがき)」が転じて「はがき」となったとされています。
この命名に関わった人物としては、近代郵便制度の創業に深く関与した 前島密 の周辺人物が挙げられます。
名称の考案には青江秀が関与したとする説明が、郵政関連資料に見られます。
つまり、語の本来の核は「葉」ではなく「端」にある、という点が重要です。
「葉書」という漢字は当て字的な性格が強い
現在は「葉書」と書きますが、これは語源というよりも 後から定着した表記 と考えるのが妥当です。
「葉」という字は、
- 薄い
- 平たい
- 一枚もの
といったイメージを想起させます。そのため、封書と対比される簡易な通信手段を表す漢字として視覚的に適していたと考えられます。
しかし、語の出発点が「端書」である以上、「葉」は本来の語源的意味ではありません。
字面から木の葉を連想する説明は、後世の解釈や俗説に近い位置づけになります。
明治期の制度化と普及
日本の近代郵便制度は1871年に創業されました。中心人物として知られるのが 前島密 です。
その後、1873年(明治6年)に郵便はがき(いわゆる官製はがき)が発行され、制度として本格的に運用が始まりました。
これにより「はがき」という語は一般に広く浸透していきます。
当時のはがきは、
- 封筒不要
- 料金が封書より安い
- 簡潔な連絡用
という特徴を持ち、近代化の進む社会に適した合理的な通信手段でした。
連濁による音変化
語形の面では、
- はしがき → はがき
という変化が起きています。
これは日本語の音韻現象である「連濁」によるものと考えられます。
複合語の後半が濁音化する現象で、「はしがき」が自然に「はがき」と発音されるようになり、やがてそれが標準形として定着しました。
まとめ
「はがき」という言葉の語源を整理すると、次のようになります。
- 語の起源は「端書(はしがき)」
- 明治期の郵便制度整備の中で名称として採用
- 1873年の郵便はがき発行により全国的に普及
- 「葉書」という表記は後に定着した漢字表記
- 発音は連濁により「はがき」となった
したがって、「木の葉に書いたから葉書になった」という説明は主流の語源説ではなく、あくまで俗説・後世の解釈と理解するのが妥当です。
語源を扱う場合は、字面のイメージではなく、歴史的用語としての「端書」から説明するのが正確といえるでしょう。
以上、はがきの語源についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

