タペストリーは織物芸術として高い美術的価値を持つだけでなく、布製であるため非常にデリケートで、時間とともに劣化しやすい素材です。
美術館や収集家が実践しているような方法から、家庭でできる保護方法まで、タペストリーを長く美しく保つための保護方法を以下に詳しくご説明します。
目次
設置場所の選び方
直射日光を避ける
タペストリーは紫外線に弱く、退色・劣化の最大原因は日光です。
- 避けたい場所:南向きの窓の近く、日中日が差す壁面
- 対策:遮光カーテン、UVカットフィルムの使用
湿気や温度変化の激しい場所はNG
湿度が高いとカビの原因になり、乾燥しすぎると繊維が脆くなります。
- 理想的な湿度:50%前後
- 理想的な温度:15〜25℃の範囲で安定させる
- 避ける場所:風呂場の近く、キッチン、窓下のヒーター付近
ホコリや汚れの防止・お手入れ方法
定期的な埃取り
- 柔らかいブラシや静電モップを使用
- 掃除機は弱設定で布の上に薄手のガーゼをかけて吸い取る(直接当てない)
汚れた場合の応急処置
- 水や洗剤はNG:織物の染料がにじむ可能性
- 乾いた柔らかい布で軽くたたく
- 専門のクリーニング(美術品・織物専門)に相談
収納・保管の方法(使わないとき)
丸めて保管(折りたたまない)
折りたたむと折り目に沿って繊維が切れたり弱くなるため、芯を使って巻いて保管します。
- 芯材:酸を含まないアーカイバルチューブや木製の丸棒(無塗装)
- 巻くとき:裏面が外側になるように
- 包む紙:中性紙、無酸性の和紙や綿布など
収納環境
- 直射日光の当たらない、湿気の少ない場所
- 防虫剤を使用する場合は直接触れないようにする(ガーゼなどで包む)
展示の方法(吊るし方)
ロッド(棒)を使った吊るし
- タペストリーの上端にロッドポケット(筒状の布)を縫い付け、そこに棒を通す方法
- 棒は木製または金属製のしっかりしたもの
- 壁に対してタペストリーが密着しすぎないよう空間を少し空ける(通気のため)
マグネット式やクリップ式(繊維に傷をつけないもの)
- 穴を開けずに吊るせる方法もありますが、強すぎる圧力は織り目を損なうため要注意
長期保存のための専門的対策(本格派向け)
中性素材での管理
- 保管箱・包装紙・接触する布すべて「中性」「無酸性」の素材を使う(美術館でも使用されている)
防虫・防カビ対策
- 樟脳(しょうのう)や天然のヒノキチップをガーゼに包んで同封
- 密閉容器で保管する場合、湿度調整剤(シリカゲルなど)を同封
定期的な状態確認
- 半年〜1年に1度は取り出して状態をチェックし、虫食いや変色がないかを確認
- 必要であれば修復専門家に相談
避けるべきNG行動まとめ
| NG行動 | 理由 |
|---|---|
| 直射日光に晒す | 色あせ、繊維劣化 |
| 折りたたんで収納 | 折り目が劣化の原因になる |
| 水拭き・洗濯 | 繊維の収縮、色落ちのリスク |
| 防虫剤を直置き | 化学反応で変色の恐れ |
| 湿気の多い場所で展示 | カビや虫食いのリスク |
まとめ

タペストリーは見た目が繊細なだけでなく、その保存にも光・湿気・ホコリ・虫害といった複数のリスクへの注意が必要です。
しかし、正しく飾り、定期的に手入れをすれば、何十年も美しさを保てる芸術品です。
家庭での保護でも十分に対応できるので、大切なタペストリーがある場合は、ぜひ上記の対策を取り入れてみてください。
以上、タペストリーの保護の方法についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

