データと社会変化から読み解く「年賀状離れ」の実態
近年、「年賀状を出す人が減っている」「今年から年賀状をやめた」という声を耳にする機会が明らかに増えています。
では実際に、年賀状を送る人はどの程度減っているのでしょうか。感覚的な印象ではなく、公的データや調査結果をもとに実態を整理していきます。
結論:紙の年賀状を送る人は、統計的にも明確に減少している
結論から言うと、紙の年賀はがきを使って年賀状を送る人・企業は、確実に減少しています。
その傾向は一時的なものではなく、複数年にわたる継続的な縮小としてデータに表れています。
年賀はがきの発行枚数が示す「需要の急減」
年賀状の利用動向を把握するうえで、最も分かりやすい指標が、日本郵便が毎年発表している「年賀はがきの当初発行枚数」です。
これは「その年に最初に用意される枚数」であり、需要予測を強く反映します。
- 2025年用(令和7年):約 10.7億枚
(前年・2024年用 約14.4億枚から約25%減) - 2026年用(令和8年):約 7.5億枚
(2025年用からさらに約30%減)
わずか2年で約半分近くまで縮小しており、「少しずつ減っている」というレベルではなく、明確な市場縮小局面に入っていることが読み取れます。
※なお、この数字は「実際に投函された枚数」ではなく「当初に発行された枚数」です。ただし、日本郵便が需要を見込んで設定する数値であるため、年賀状需要の動向を把握する指標としては十分に信頼性があります。
公的統計でも確認できる「年賀状を出さない世帯の増加」
総務省が実施している「通信利用動向調査(世帯編)」では、世帯単位で「年賀状・暑中見舞いを差し出したか」「平均何通出したか」といった行動データが集計されています。
この調査では年々、
- 年賀状をまったく出さない世帯の割合が増加
- 出す世帯でも、1世帯あたりの通数が減少
という傾向が確認されており、“年賀状を出す行為そのもの”が生活習慣として弱まっていることが分かります。
企業の「年賀状じまい」はすでに多数派へ
個人以上に顕著なのが、企業における年賀状離れです。
帝国データバンクの調査によると、
- すでに年賀状をやめた企業:58.1%
- 「今後も年賀状を送る」と回答した企業は4割未満
となっており、企業間では年賀状を出さない方が“標準”になりつつある状況です。
企業が年賀状をやめると、取引先や関係者側も「今年から省略して問題ない」と判断しやすくなり、結果として個人の年賀状文化にも影響が波及します。
なぜ年賀状は減っているのか?主な要因を整理
年賀状離れは、単一の理由ではなく、複数の要因が重なって進行しています。
新年の挨拶がSNS・メッセージアプリに置き換わった
LINE、SNS、メールなどで、即時・無料・一斉に挨拶ができるようになり、「わざわざ紙で送る必要性」が薄れました。
郵便料金の値上げによるコスト増
2024年10月から、通常はがきは 63円 → 85円 に値上げされています。
30枚出す場合、郵便代だけで 2,550円 となり、印刷代を含めると負担感は小さくありません。
「年賀状じまい」が社会的に受け入れられた
以前は「やめると失礼」という空気がありましたが、現在は年賀状じまいという言葉や定型文が浸透し、心理的ハードルが大きく下がっています。
住所を知らない・聞きづらい人が増えた
SNSでつながっていても住所は知らない、という関係性が増え、結果として「出したくても出せない」ケースも増加しています。
年賀状は今後なくなるのか?
現状を見る限り、年賀状が完全になくなる可能性は低いと考えられます。
ただし、その役割は明確に変化しています。
- 目上の方、親族、恩師など「形式が重視される関係」
- 写真付きで近況を伝える用途
- 喪中・寒中見舞いなど、紙の方が適している場面
こうした限定的・選択的な用途に集約され、「惰性で大量に出す文化」は今後さらに縮小していくと見られます。
まとめ
- 年賀はがきの発行枚数は短期間で大幅に減少
- 世帯調査・企業調査の両面から見ても、年賀状離れは事実
- SNS普及、料金値上げ、年賀状じまいの一般化が背景
- 今後は「必要な相手にだけ出す文化」へ移行していく可能性が高い
年賀状は「なくなる」のではなく、“選ばれるコミュニケーション手段”へと変化していると言えるでしょう。
以上、年賀状を送る人は減っているのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

