シール(ステッカー)の品質や耐久性は、デザイン以前に材質(基材)の選定によって大きく左右されます。
見た目が同じシールでも、材質を誤ると「水で劣化する」「すぐ剥がれる」「糊が残る」といったトラブルが発生します。
本記事では、印刷・販促・商品ラベルの現場で一般的に使用されている材質を中心に、特徴・適した用途・注意点を整理して解説します。
シールの基本構造
一般的なシールは、以下の3要素で構成されています。
- 表面基材(フェイス材):見た目や質感、耐久性を決定する
- 粘着剤:貼り付き方や剥がれ方に影響する
- 剥離紙(台紙):加工や貼り作業のしやすさに関係する
この記事では、最も選定ミスが起きやすい表面基材(材質)について詳しく説明します。
紙系シール(主に屋内・短期用途)
上質紙
- コピー用紙に近い自然な質感
- コストが低く、鉛筆やペンでの書き込みが可能
- 水や湿気、摩擦には弱い
主な用途
管理用ラベル、仮貼りシール、屋内掲示など
短期間の使用やコスト重視の場合に適しています。
アート紙・コート紙系
- 表面にコーティングが施され、発色が良い
- 写真やイラストの再現性が高い
- 耐水性はほとんどない
主な用途
商品ラベル、販促用シール、食品表示など
※「アート紙」「コート紙」という名称やグレードは印刷会社やメーカーによって異なりますが、一般的には表面が滑らかでツヤのある紙素材と理解すれば問題ありません。
和紙
- 繊維感があり、独特の風合いがある
- 高級感や和のイメージを演出できる
- 耐水性・耐久性は低い
主な用途
和菓子、酒類、ギフト商品など
デザイン性や世界観を重視する用途に向いています。
フィルム系シール(耐水・耐久性重視)
PP(ポリプロピレン)
- 軽量で柔軟性のあるフィルム素材
- 耐水性があり、コストと性能のバランスが良い
- 耐熱性は比較的高いが、必要な温度条件によっては仕様確認が必要
主な用途
食品、日用品、化粧品ラベルなど
紙素材では耐久性が不足する場合の定番素材です。
PET(ポリエステル)
- 硬めで寸法安定性が高い
- 耐水性・耐摩耗性に優れる
- 耐熱性は比較的高い傾向があるが、グレードや加工形態によって差がある
主な用途
工業ラベル、注意表示、バーコード、資産管理用ラベル
長期間貼り付ける用途に適しています。
PVC(塩ビ)
- 柔軟性が高く、曲面や凹凸面に追従しやすい
- 屋外耐候性に優れる
- 用途や調達基準によっては使用制限が設けられる場合がある
主な用途
車両ステッカー、屋外サイン、長期掲示物
※屋外での耐久年数は、基材だけでなく印刷方式、ラミネートの有無、設置環境によって大きく変わります。
透明フィルム
- 下地の色や素材を活かせる
- デザインの自由度が高い
- 白色を表現する場合は白印刷(白版)が必要
主な用途
ボトル、ガラス面、ロゴ表示など
特殊素材(差別化・付加価値用途)
- ホログラム:偽造防止、限定感の演出
- メタリック(アルミ蒸着):高級感・視認性向上
- クラフト紙:ナチュラル・オーガニック訴求
- 再生紙・エコ素材:環境配慮・企業姿勢の表現
粘着剤の選定も重要
材質が適切でも、粘着剤の選択を誤ると問題が起きます。
- 永久接着:剥がさない前提の用途
- 弱粘着:短期間の掲示向け
- 再剥離:一定期間後に剥がす用途
※貼付面・使用期間・環境によっては糊残りが発生する場合があります - 低温・冷凍対応:冷蔵・冷凍環境向け
※貼り付け時の温度条件が特に重要です
用途別の材質目安
| 用途 | 推奨材質 |
|---|---|
| 食品・飲料ラベル | PP |
| 化粧品 | PP / PET |
| 屋外使用 | PVC / PET |
| 管理・バーコード | PET |
| 高級・限定商品 | 和紙 / メタリック |
| 仮貼り・短期使用 | 上質紙+弱粘着 |
※最終的な耐久性は、印刷方式や表面加工(ラミネート)によっても左右されます。
実務で失敗しないための注意点
- 屋外用途は「基材+印刷方式+表面加工」をセットで考える
- PPやPEなど低表面エネルギー素材では粘着不良が起きやすい
- 再剥離は「剥がす時期」まで想定する
- 同じ材質でも、粘着剤の種類や貼付温度条件で結果が大きく変わるため、事前の貼付テストが推奨される
まとめ
シールの材質選定で最も重要なのは、「どこに」「何に」「どれくらいの期間」「どんな環境で使うか」を具体的に想定することです。
この前提を押さえたうえで材質と粘着剤を選定すれば、剥がれ・劣化・糊残りといったトラブルを大きく減らすことができます。
以上、シールの材質についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

