暑中見舞いとは、夏の暑さが厳しい時期に、相手の健康を気遣って送る季節の挨拶状です。
「暑い日が続いていますが、お元気でお過ごしでしょうか」という気遣いを伝えることが、本来の目的です。
現在では、相手の健康を気遣うだけでなく、自分や家族の近況、結婚や出産、転居などを知らせるために暑中見舞いを利用することもあります。
ただし、暑中見舞いの中心となるのは、あくまで相手への気遣いです。
自分の近況ばかりを書き連ねるのではなく、相手の健康や日々の様子を気遣う言葉を入れることが大切です。
暑中見舞いを送る時期のマナー
暑中見舞いで特に注意したいのが、送る時期です。
時期を過ぎてから「暑中見舞い」として送ると季節感に合わなくなるため、暦を確認しておきましょう。
小暑または梅雨明け頃から立秋の前日までが目安
暑中見舞いを送り始める時期には、いくつかの考え方があります。
一般的には、小暑である7月7日頃から立秋の前日までを暑中見舞いの時期とする考え方があります。
一方で、実際の季節感を重視し、梅雨明け頃から送るという考え方も広く定着しています。
そのため、分かりやすい目安としては、小暑または梅雨明け頃から立秋の前日までと考えるとよいでしょう。
梅雨明けの時期は地域によって異なるため、相手が住んでいる地域の気候にも配慮すると、より季節感のある暑中見舞いになります。
立秋以降は残暑見舞いに切り替える
立秋以降に送る場合は、「暑中見舞い」ではなく「残暑見舞い」とするのが基本です。
暑中見舞いでは、
「暑中お見舞い申し上げます」
と書きますが、立秋以降は、
「残暑お見舞い申し上げます」
に変更します。
実際には立秋を過ぎても厳しい暑さが続くことがあります。
しかし、暑中見舞いと残暑見舞いの区切りは実際の気温ではなく、暦上の立秋を基準に考えるのが一般的です。
なお、立秋の日付は毎年完全に同じではないため、その年の暦を確認しておくと安心です。
相手に届く日も考えて投函する
暑中見舞いを送る際は、投函する日だけでなく、相手に届く日も考慮しましょう。
例えば、立秋の直前に暑中見舞いを投函すると、配達される頃には立秋を迎えている可能性があります。
その場合は、暑中見舞いではなく残暑見舞いとして送ったほうが自然です。
時期の境目に送る場合は、郵便の配達日数を考慮し、余裕を持って投函しましょう。
暑中見舞いの基本的な書き方
暑中見舞いには、一般的な手紙ほど厳格な形式があるわけではありません。
ただし、基本的な構成に沿って書くことで、読みやすく礼儀正しい暑中見舞いになります。
最初に暑中見舞いの挨拶を書く
冒頭には、
「暑中お見舞い申し上げます」
と書くのが一般的です。
暑中見舞いでは、この季節の挨拶が書き出しの役割を果たすため、通常の手紙のように「拝啓」や「敬具」を使う必要は基本的にありません。
相手の健康や近況を気遣う
続いて、暑さの中で相手が元気に過ごしているかを気遣う言葉を書きます。
例えば、
「厳しい暑さが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか」
「暑さ厳しき折、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます」
などの表現が使えます。
相手との関係に応じて、文章の丁寧さを調整しましょう。
自分や家族の近況を簡潔に伝える
相手への気遣いに続いて、自分や家族の近況を書くこともできます。
例えば、
「おかげさまで、私ども家族一同元気に過ごしております」
といった内容です。
仕事や旅行、子どもの成長などについて触れても構いません。
ただし、自分の話ばかりにならないよう、簡潔にまとめることが大切です。
相手の健康を願う言葉で結ぶ
文章の最後では、改めて相手の健康を気遣います。
例えば、
「暑さはまだまだ続きますので、どうぞご自愛ください」
「厳しい暑さが続きます折、くれぐれもお身体を大切にお過ごしください」
などが使えます。
暑中見舞いは相手への気遣いを伝えるものなので、結びにも思いやりのある言葉を入れるとよいでしょう。
最後に日付を入れる
暑中見舞いの最後には、日付を記載します。
具体的な月日を書いても問題ありませんが、
「令和○年 盛夏」
のように、季節を表す言葉で締める方法も一般的です。
「ご自愛ください」の使い方に注意する
暑中見舞いでよく使われる表現の一つが「ご自愛ください」です。
便利な言葉ですが、使い方には注意が必要です。
「お身体をご自愛ください」は避ける
「自愛」には、自分自身の身体や健康を大切にするという意味が含まれています。
そのため、
「お身体をご自愛ください」
とすると意味が重複します。
「どうぞご自愛ください」
「くれぐれもご自愛ください」
などとするのが自然です。
体調を崩している相手には別の表現を使う
「ご自愛ください」は、基本的には健康な相手に対して、これからも健康に気を付けてくださいという意味で使う表現です。
相手がすでに病気やけがで療養している場合には、
「どうぞお大事になさってください」
「一日も早いご回復をお祈り申し上げます」
などの表現を使ったほうが適しています。
相手の状況を知っている場合は、定型文をそのまま使うのではなく、状態に応じた言葉を選びましょう。
相手との関係に合わせて言葉遣いを変える
暑中見舞いは、送る相手によって適切な文章の雰囲気が異なります。
親しい人には自然な言葉を使い、目上の人や仕事関係の相手には丁寧な表現を選びましょう。
友人や親しい知人には親しみのある文章でよい
友人や親しい知人に送る場合は、必要以上に形式ばる必要はありません。
例えば、
「毎日暑いですね。元気にしていますか」
「こちらは家族みんな元気に過ごしています」
など、日常的な言葉を取り入れても問題ありません。
ただし、冒頭に「暑中お見舞い申し上げます」と入れると、季節の挨拶状らしい印象になります。
上司や目上の人には丁寧な表現を使う
上司や恩師、年長者などに送る場合は、丁寧で落ち着いた言葉遣いを心がけましょう。
例えば、
「暑さ厳しき折、いかがお過ごしでしょうか」
「皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます」
などの表現があります。
相手と非常に親しい場合を除き、くだけすぎた表現は避けたほうが無難です。
取引先や顧客には簡潔で礼儀正しい文章を使う
ビジネス関係の相手へ暑中見舞いを送る場合は、礼儀正しさと簡潔さを意識しましょう。
会社や団体に対しては、
「貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」
などの表現を使えます。
一方、個人に対しては「ご健勝」などの表現が適しています。
商品やサービスの宣伝を入れる場合でも、広告ばかりが目立たないようにすることが重要です。
相手の状況に配慮して文章を考える
暑中見舞いは、定型文をそのまま送ればよいわけではありません。
相手の健康状態や家庭の状況などを知っている場合は、それに配慮した言葉を選ぶことが大切です。
病気療養中の相手に決まり文句を使わない
例えば、相手が病気療養中であることを知っているにもかかわらず、
「ますますご健勝のこととお慶び申し上げます」
と書くと、不自然に受け取られる可能性があります。
そのような場合には、
「暑さ厳しき折、その後お加減はいかがでしょうか」
など、相手の状況に合わせた言葉を使うとよいでしょう。
暑中見舞いでは、形式を整えること以上に、相手への思いやりを表すことが大切です。
喪中でも暑中見舞いは送れる
年賀状と混同されることがありますが、基本的に喪中でも暑中見舞いを送ることはできます。
暑中見舞いはお祝いの挨拶ではない
年賀状は新年を祝う意味を持つため、一般的に喪中には送るのを控えます。
一方、暑中見舞いは相手の健康を気遣う季節の挨拶です。
お祝いを目的としたものではありません。
そのため、自分が喪中の場合でも、相手が喪中の場合でも、暑中見舞いを送ること自体は基本的に問題ありません。
忌中の場合は時期や表現に配慮する
近親者が亡くなって間もない忌中の時期には、無理に暑中見舞いを送らず、忌明けを待つのが一般的です。
忌明けの頃には立秋を過ぎていることもあるため、その場合は残暑見舞いとして送ります。
また、喪中の相手へ送る場合は、花火などの極端に華やかなデザインを避け、落ち着いた絵柄や文章にするとよいでしょう。
暑中見舞いを受け取ったら返信する
暑中見舞いを受け取った場合は、できるだけ早めに返信するのが基本的なマナーです。
特に、上司や恩師など目上の人から先に暑中見舞いを受け取った場合は、きちんと返事をするとよいでしょう。
立秋前に届くなら暑中見舞いとして返す
返信が立秋前に相手へ届く場合は、
「暑中お見舞い申し上げます」
として返信できます。
立秋以降に届くなら残暑見舞いにする
受け取ったものが暑中見舞いであっても、自分の返信が立秋以降に届く場合は、
「残暑お見舞い申し上げます」
として送るのが自然です。
相手が使用した表題に合わせるのではなく、返信が届く時期に合わせて暑中見舞いか残暑見舞いかを判断しましょう。
はがきのデザインは相手に合わせて選ぶ
暑中見舞いでは、夏らしいデザインのはがきがよく使われます。
朝顔、金魚、風鈴、ひまわり、海など、季節感のある絵柄は暑中見舞いに適しています。
友人にはカジュアルなデザインでもよい
親しい友人や家族であれば、写真やイラストを使ったカジュアルなデザインでも問題ありません。
自分らしい写真や夏らしい絵柄を使うことで、親しみやすい暑中見舞いになります。
目上の人や取引先には落ち着いたデザインを選ぶ
上司や恩師、取引先などに送る場合は、派手すぎない落ち着いたデザインを選ぶと安心です。
相手が喪中の場合も、華やかすぎる色や祝い事を連想させるようなデザインを避けるなどの配慮をするとよいでしょう。
宛名は正しく書く
暑中見舞いに限らず、宛名の間違いは避けたいものです。
特にビジネス関係の相手へ送る場合は、会社名、部署名、役職、氏名などを正確に確認しましょう。
個人宛てには「様」を使う
個人を宛先とする場合は、
「山田太郎 様」
のように「様」を付けます。
会社や部署宛てには「御中」を使う
会社や部署そのものへ送る場合は、
「株式会社○○ 御中」
「株式会社○○ 営業部 御中」
などとします。
「御中」と「様」は併用しない
個人名まで記載する場合は、
「株式会社○○
営業部 山田太郎 様」
とします。
「株式会社○○ 御中 山田太郎 様」
のように、「御中」と「様」を同じ宛先で併用するのは適切ではありません。
印刷した暑中見舞いには一筆添えるとより丁寧
暑中見舞いの本文を印刷して送ること自体は、マナー違反ではありません。
ビジネスなどで多くの相手へ送る場合には、印刷した暑中見舞いも一般的です。
ただし、親しい相手や大切な取引先などには、
「またお会いできることを楽しみにしております」
「お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください」
など、手書きで一言添えると、より気持ちが伝わりやすくなります。
手書きの一筆は必須ではありませんが、定型文だけの印象を和らげられる方法です。
暑中見舞いで避けたいポイント
暑中見舞いを送る際は、形式だけではなく、相手や時期への配慮も大切です。
立秋以降に暑中見舞いとして送らない
立秋以降は「暑中お見舞い申し上げます」ではなく、「残暑お見舞い申し上げます」とします。
立秋直前に投函する場合も、相手への到着日を考えて判断しましょう。
自分の近況だけを書かない
暑中見舞いは相手を気遣うための季節の挨拶です。
旅行や仕事など自分の近況を書いても構いませんが、相手への挨拶や健康を気遣う言葉を忘れないようにしましょう。
相手に合わない言葉遣いを避ける
友人に堅苦しすぎる文章を送ったり、反対に上司や取引先へくだけすぎた文章を送ったりすると、不自然な印象になる場合があります。
相手との関係に合わせて言葉遣いを調整することが重要です。
相手の事情を無視した定型文を使わない
病気療養中や喪中など、相手の状況が分かっている場合は、一般的な定型文が適さないこともあります。
状況に合わせて、相手を思いやる表現に変更しましょう。
ビジネスでは宣伝を前面に出しすぎない
取引先や顧客へ暑中見舞いを送る際、商品やサービス、夏季休業などの案内を加えることはできます。
ただし、宣伝ばかりを大きく掲載すると、季節の挨拶ではなく広告のような印象を与える可能性があります。
まずは日頃の感謝や相手への気遣いを伝え、その後に必要な案内を簡潔に加えると自然です。
暑中見舞いの基本的な例文
一般的な暑中見舞いであれば、次のような文章にすると自然です。
一般的な暑中見舞いの例文
暑中お見舞い申し上げます
厳しい暑さが続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
おかげさまで、私どもは変わらず元気に過ごしております。
まだしばらく暑い日が続きますので、くれぐれもご自愛ください。
令和○年 盛夏
暑中見舞いでは相手を思いやることが最も大切
暑中見舞いを送る際には、送る時期や文章の形式など、押さえておきたい基本的なマナーがあります。
小暑または梅雨明け頃から立秋の前日までを目安に送り、立秋以降は残暑見舞いに切り替えましょう。
文章では、相手の健康を気遣う言葉を中心に、自分の近況を簡潔に添えるのが基本です。
また、友人、上司、恩師、取引先など、相手との関係によって言葉遣いやデザインを変えることも重要です。
喪中や病気療養中など、相手に特別な事情がある場合は、定型文にこだわらず、状況に応じた言葉を選びましょう。
暑中見舞いで最も大切なのは、形式だけを守ることではありません。
厳しい暑さの中で相手の健康を気遣い、思いやりを伝えることが、暑中見舞いの基本的なマナーです。
以上、暑中見舞いを送る際の基本的なマナーについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

